大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和26(れ)1936 判決

主 文

本件各上告を棄却する。

理 由

被告人A弁護人柴田次郎、同柴田元一の上告趣旨第一点について。

記録を調査すると医師Bの鑑定書について、検事がその鑑定を求めるいわゆる強

制処分の請求書、裁判官がその請求に基き鑑定を命じた調書及び鑑定人の宣誓書が

記録に編綴されていないことは所論のとおりである。しかし右鑑定書を見るとそれ

は昭和二二年六月二六日付を以て医師Bが署名押印の上横浜地方裁判所判事竹村義

徹宛に作成提出されたものであることが明らかであり、なおその冒頭には「昭和二

十二年六月廿六日横浜地方裁判所判事竹村義徹ハ氏名不詳数名ニ対スル傷害致死被

疑事件ニ付被害者C当四十八年ノ屍体ヲ検査解剖ノ上左記事項ニ付キ鑑定ヲ命セラ

レタルニヨリ鑑定スルコト左ノ如シ」とあり、次で「鑑定事項」及び「鑑定ノ結果」

について項を分けて記載してある。而して本件公訴の提起は昭和二二年八月二三日

であるから本件については公訴提起前たる昭和二二年六月二六日前示裁判所判事の

鑑定命令に基き医師Bが鑑定人として右鑑定書を作成したものであることが判る。

そして当裁判所が職権をもつて調査したところによると昭和二二年六月二六日横浜

地方検察庁検事が検証、鑑定について旧刑訴二五五条による強制処分の請求をなし、

同日右請求により横浜地方裁判所判事竹村義徹が同裁判所書記Dを帯同し横浜地方

検察庁検事富田正典等と共に川崎市内E病院に出張し医師Bに鑑定人としての訊問

をなし鑑定事項等を示して屍体の鑑定を命じ、同鑑定人は宣誓の上宣誓書に署名押

印し屍体の解剖鑑定をしたことが明らかである。又原審公判調書の記載によると原

審裁判長は証拠調をするにあたり、医師Bの鑑定書の要旨を告げ意見弁解の有無を

問い、右書類の作成者の尋問請求をなし得る旨を告げたところ被告人A及びその原

審弁護人柴田次郎、同柴田元一は別に意見弁解を述べていないし、その作成者の尋

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問請求もせず又右書類の証拠調について異議の申立もしていないことが判るのであ

る。従つて本件記録上は所論の如き各書類が編綴されていない瑕疵があり右鑑定書

を有罪の資料として採用したことが旧刑訴法上違法であるとしても原判決を破棄し

なければ著しく正義に反するものとは認められないから論旨は採用できない。

同第二点について。

所論は事実誤認の主張であるから上告適法の理由にあたらない。

同第三点について。

所論は量刑不当の主張であるから上告適法の理由にあたらない。

被告人F弁護人山田義夫、同向山義雅の上告趣意について。

所論は刑訴四〇五条の上告理由にあたらない。

なお本件については刑訴四一一条を適用すべきものと認められない。

よつて刑訴施行法第三条の二、刑訴四〇八条により主文のとおり判決する。

この判決は裁判官全員一致の意見によるものである。

昭和二八年一月三〇日

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 霜 山 精 一

裁判官 栗 山 茂

裁判官 小 谷 勝 重

裁判官 藤 田 八 郎

裁判官 谷 村 唯 一 郎

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